狐の社・二社目

カードゲーム好き元限界労働者がその時々に好き勝手ゲームについて語るブログ。

【EDH】龍王アタルカから始まる無ライフ

仕事を辞めたことで25年の歴史を持ち今もなお世界中で愛されるカードゲームMagic:The Gatheringをやれる機会が増えたので、就職前のようにマジックの話題も記事にしていきたいと思っています。

 

今回の話題はEDHですが、ディープなEDHプレイヤーだけでなく、様々な層に読んでいただければ幸いです。

 

本日のテーマは"無"。EDHにおける無というと《無のロッド》が真っ先に思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。とはいえ今回のデッキは《無のロッド》は入っていません。封じる…とかではないんです。物理的に無にする。相手のパーマネントを無くす。そんなデッキです。

まぁ、相手を縛るといった点では似たようなものかもしれませんが。

 

ではジェネラルの紹介から入るとしましょう。

 

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Dragonlord Atarka / 龍王アタルカ (5)(赤)(緑)
伝説のクリーチャー — エルダー(Elder) ドラゴン(Dragon)


飛行、トランプル
龍王アタルカが戦場に出たとき、対戦相手がコントロールする、クリーチャーやプレインズウォーカーを望む数だけ対象とする。龍王アタルカはそれらに5点のダメージをあなたの望むように分割して与える。

 

8/8

 

 

EDHにおける強いジェネラルの基準というものは幾つかあります。
例えば何らかのカード一枚とお手軽にコンボを形成し、他三人を一瞬で叩き潰せる能力を持っているとか。

アドバンテージ獲得能力、継戦能力が非常に高い、しぶとさを売りにするジェネラルもいますね。

展開力に優れ、そこからチェインコンボに繋げやすいのは緑系の強ジェネラルにありがちな強みです。

一部の恵まれた能力を持ったジェネラルは場に出して殴るだけで勝てる規格外のパワーを持っています。

 

では、《龍王アタルカ》はどうでしょうか?


8/8、飛行、トランプルと図体は大きいですが7マナと重い事が大きな欠点です。

これがスタンダードならば話は変わったのでしょうが、盤面で戦わないデッキも多いEDHにおいてCIP能力もお世辞にもゲームを決めきる力があるとは言えません。
これがプレイヤーにもダメージを与えられるならば無限マナから無限に出し入れして勝つルートが作れたでしょうが当然そんな事もありません。


そして極めつけに赤緑。一般的にEDHにおいて強い色は青と黒だと言われている以上、色にも恵まれていません。カラーマーカーとしても不適切ですね。

 

いやはや、とんだ木偶の坊がいたものです。
こんな弱ジェネラルを頭に据えてデッキなんぞできるわけがありません。

 

…というわけでも無かったりするのがこのゲームの面白い所なんですがね。

 

まず《龍王アタルカ》のパワー8は三度殴れば人を一人殺せる数値です。
素の状態ではパワー7と必要回数は変わりませんが、パワー8は《生体融合外骨格》を始めとした幾つかのカードとの組み合わせでジェネラルダメージ21点や感染10点による瞬殺が可能であり、無駄に1高いというわけでもないのです。


5点割り振りは確かに盤面で戦わないデッキに対しては無力ですが、緑系のマナクリーチャーをまとめて消し飛ばせますし、ジェネラルゾーンにいるだけで

「俺は次のターンにアタルカを出して貴様のジェネラルを焼き払う準備はできているぞ」
…というような牽制にもなり得ます。

 

つまり、アタルカの強みは“盤面制圧力”“打撃力”という事になります。
コンボを決めて一瞬で勝てるジェネラルと比較するとイマイチ地味ですが、フォーマット的に一見弱い彼女の能力もそれはそれで唯一無二の強みなのです。
ではなんとなくどんな長所を伸ばしてあげれば良いか分かったところで、お待ちかねのデッキリストを公開いたしましょう。

 

ジェネラル
《龍王アタルカ/Dragonlord Atarka》

 

大物 4
《マグマの力/Magmatic Force》
《テラストドン/Terastodon》
《虚空の選別者/Void Winnower》
《約束された終末、エムラクール/Emrakul, the Promised End》

 

ワンパン枠 2
《破壊のオーガ/Wrecking Ogre》
《サングライトのうねり/Sangrite Surge》

 

サーチ&ドロー 13
《師範の占い独楽/Sensei's Divining Top》
《ギャンブル/Gamble》

《俗世の教示者/Worldly Tutor》
《輪作/Crop Rotation》
《生命の遺産/Life’s Legacy》
《森の知恵/Sylvan Library》
《異界の進化/Eldritch Evolution》
《Wheel of Fortune》
《調和/Harmonize》
《重大な落下/Momentous Fall》
《よりよい品物/Greater Good》
《記憶の壺/Memory Jar》
《ニンの杖/Staff of Nin》

 

ユーティリティ 2
《通電式キー/Voltaic Key》
《彫り込み鋼/Sculpting Steel》

 

妨害 21
《力づく/By Force》
《破壊放題/Shattering Spree》
《汚損破/Vandalblast》
《横揺れの地震/Rolling Earthquake》
《呪われたトーテム像/Cursed Totem》
《内にいる獣/Beast Within》
《混沌のねじれ/Chaos Warp》
《荒残/Rack and Ruin》
《火山の流弾/Volcanic Fallout》
《血染めの月/Blood Moon》
《三なる宝球/Trinisphere》
《破滅/Ruination》
《焦熱の合流点/Fiery Confluence》
《上天の閃光/AEther Flash》
《締め付け》
《破滅の儀式/Rite of Ruin》
《火山の捧げ物/Volcanic Offering》
《壊滅/Devastation》
《燎原の火/Wildfire》
《破壊的な力/Destructive Force》
《精霊龍、ウギン/Ugin, the Spirit Dragon》

 

マナ加速 28
《魔力の墓所/Mana Crypt》
《水蓮の花びら/Lotus Petal》
《オパールのモックス/Mox Opal》
《金属モックス/Chrome Mox》
《永遠溢れの杯/Everflowing Chalice》
《太陽の指輪/Sol Ring》
《魔力の櫃/Mana Vault》
《厳かなモノリス/Grim Monolith》
《冷鉄の心臓/Coldsteel Heart》
《精神石/Mind Stone》
《思考の器/Thought Vessel》
《グルールの印鑑/Gruul Signet》
《虹色のレンズ/Prismatic Lens》
《苔色のダイアモンド/Moss Diamond》
《緋色のダイアモンド/Fire Diamond》
《衝動のタリスマン/Talisman of Impulse》
《友なる石/Fellwar Stone》
《玄武岩のモノリス/Basalt Monolith》
《摩滅したパワーストーン/Worn Powerstone》
《煮えたぎる歌/Seething Song》
《連合の秘宝/Coalition Relic》
《ウル=ゴーレムの目/Ur-Golem’s Eye》
《スランの発電機/Thran Dynamo》
《カルニの宝石/Khalni Gem》
《背信のオーガ/Treasonous Ogre》
《面晶体の記録庫/Hedron Archive》
《金粉の水蓮/Gilded Lotus》
《約束の刻/Hour of Promise》

 

土地 29
《Taiga》
《踏み鳴らされる地/Stomping Ground》
《モスファイアの谷/Mossfire Valley》
《火の灯る茂み/Fire-Lit Thicket》

《カープルーザンの森/Karplusan Forest》
《樹木茂る山麓/Wooded Foothills》
《吹きさらしの荒野/Windswept Heath》
《魂の洞窟/Cavern of Souls》
《統率の塔/Command Tower》
《マナの合流点/Mana Confluence》
《リシャーダの港/Rishadan Port》
《露天鉱床/Strip Mine》
《不毛の大地/Wasteland》
《Mishra's Workshop》
《宝石の洞窟/Gemstone Caverns》
《The Tabernacle at Pendrell Vale》
《イス卿の迷路/Maze of Ith》
《惑いの迷路/Mystifying Maze》
《ケッシグの狼の地/Kessig Wolf Run》
《発明博覧会/Inventors’ Fair》
《家路/Homeward Path》
《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》
《水晶鉱脈/Crystal Vein》
《古えの墳墓/Ancient Tomb》
《裏切り者の都/City of Traitors》
4 《森/Forest》

 


やり過ぎなほどの大量のマナ加速が目を引きますね。
以前組んだ《Rasputin Dreamweaver》や《全能なるものアルカニス》《血の調停者、ヴィシュ・カル》ですらマナ加速は25枚程度であり、それすら調整中でまだ減らせると言っていたことを考えると、土地とマナ加速を合わせて60枚近い枚数というのは異常にも見えますね。
ほぼ土地と同数《ウル=ゴーレムの目》レベルのマナファクトまで採用しているのは理由があります。その答えが“妨害”にカテゴライズされている呪文群です。

 

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 ▲弱い(冷静)

 

アタルカの強みは盤面制圧力と打撃力だと説明しましたが、流石の龍王も一匹で四人対戦の場を制圧する事は不可能です。
故にアタルカ以外の全てを巻き込みブチ壊す大破壊呪文が必要なのです。
そして壊滅した場を龍王が翔ける。これは大雑把に言ってしまえばそんなコンセプトで構築されたデッキです。

 

いまだ多くのEDHプレイヤーは盤面を更地にする リセット呪文 といった類に良い印象は無いのではないでしょうか。
事実としてリセット呪文が低い評価を受けていた時代もありました。
《抹消》や《ジョークルホープス》を撃って卓をグダらせる奴は迷惑だ、と。
自分が勝てるわけでもないのにリセットしてゲームをつまらなくする、と。

 

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 ▲純粋なリセット。エンチャントとPWは残るが基本的には勝ちが遠のくだけなので《ギトゥのジョイラ》《黒薔薇のマルチェッサ》くらいでしか使われない。

 

まぁ実際そうですよね。《抹消》撃って仕切り直し! 全員またゼロから始めましょう! なんて言われてもダルい以外の感想がありませんよね。
というわけで、《抹消》はダメです。無にするにしてもあれはやり過ぎです。相手と一緒に自分も無になってしまったら意味がありません。ジェネラルが重いこっちが逆に機能不全になって負けます。

求められるものは程々の無。相手だけが無になる、そんなシチュエーションです。

 

デッキに入れる際には正しいリセットボタンを選びましょう。
そうすれば必ずコストに見合った戦果を挙げてくれる筈です。

 

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▲こちらが正しいリセット呪文。アーティファクトが残る為撃つとこちらが有利になる。


アタルカは《燎原の火》や《破壊的な力》を始めとした核の炎に耐える事のできる強靭な肉体を持っています。これらが通ればマナクリーチャー主体のデッキは再起不能の大打撃を受け、殆どのジェネラルは死滅し、アタルカのみが残る場になるでしょう。


先ほど書いたようにリセット呪文は種類を選んでいますので、自分のアーティファクトを根こそぎ破壊してしまうようなモノは意図的に避けています。
マナファクトを多く採用しているのはその為で、土地が吹き飛んでもアーティファクトのみで十分なマナ基盤を形成できるよう構築しています。


ですが、そうした構築の欠点として、アーティファクト主体のデッキを黙らせるには別の呪文で対応する必要が出てきます。しかし《無のロッド》や《粉砕の嵐》は自分も機能停止してしまうため採用できません。


そのため、今回のデッキはアーティファクトヘイトを高めに設定し、赤の嗜みたる《汚損破》と《力づく》の他に《破壊放題》に《焦熱の合流点》更に更に《荒残》も採用しています。流石に《核への投入》までは入れませんでしたが、この際入れてしまう方向性もアリでしょう。

 

 

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▲自分のアーティファクトは残し、相手のアーティファクトは根こそぎブチ壊す。

 

 一度盤面をブチ壊してしまえばこちらのペースに引きずり込めたようなもの。ここから先は好き勝手やりたいことをやって気持ちよくなってしまいましょう。

その間対戦相手は無になっています。無って素晴らしいですよね。

何もかも無にしていきたいものです。

 

アタルカを生贄に膨大なアドバンテージを獲得してリソース差を更に拡げ、もう一度大量破壊呪文を撃つのもいいでしょう。デッキ内にマナアーティファクトが多いとはいえ、8枚も引けば何かしら出てくるでしょう。

 

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▲何気にペイライフが多いので《重大な落下》のゲインが嬉しかったり。

 

速やかに殴り勝ちたいのならば《破壊のオーガ》と《サングライトのうねり》がベストです。パワー11二段攻撃と化したアタルカは人を一人即死させることができます。震災復興が一番速そうな相手を狙って殴りましょう。

 

今回のデッキでは冒頭でも紹介しました《生体融合外骨格》は弱点を増やしてしまう事に繋がるため不採用です。余った軽量アーティファクト破壊にアタルカを除去られるのは癪に障りますからね。

 

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▲ワンパン枠。《俗世の教示者》に対応している《破壊のオーガ》は高ポイント。

 

デッキの動きとしては概ね上記の通りです。

これが以前流行った、「速度の速い尖ったデッキは出鼻を挫かれた時のリカバリーが遅い」という理論を根拠に濫造されていた「無にするEDH」と呼ばれるものです。

一部の高額カードを除けば比較的安く組める点も高ポイントだと思います。

EDH初心者にもおすすめ!

 

《すべてを護るもの、母聖樹》から放たれる《破壊的な力》で盤面をグチャグチャにする快感は代えがたいものです。速度勝負もいいですが、是非とも皆さんも一度は盤面をブチ壊す快感を知ってほしい。そんな思いでこの記事を書きました。

 

 

レッツ無ライフ。何もかもを無にしましょう。

 

 

御覧いただき、ありがとうございました。